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   [オフィスにおじゃま] (株)アイワークス 社長 横山拓也さん



 

 バイオ研究の先端で使われる細胞操作装置を開発
                     株式会社アイワークス 代表取締役社長 横山 拓也 さん



横山拓也さん


  今回のオフィスにおじゃまは、今年4月に個室に入居された(株)アイワークスの横山拓也さんです。アイワークスでは、バイオサイエンスの研究に使われる実験装置の研究開発・販売や受託研究をされています。そう聞くと横山さんは理系の研究者出身だと思うかもしれませんが、実は違います。横山さんのユニークな経歴も含め、お話を伺いました。

◆まず何を作っておられるのでしょうか? 

 細胞操作装置のセルワークスです。
 誘電泳動の原理をつかい、顕微鏡でのぞきながら細胞を集めたり、放したり、融合させたりする機械で、主に小規模な研究室で使われることを想定した装置です。
  このほか受託研究も引き受けています。



細胞操作装置「セルワークス」本体
― ◆ 誘電泳動って何ですか? 
 物質(微粒子)の入った溶液の中に交流の電気を通すと、物質と溶媒が帯びている電気の量の違いで、物質(微粒子)が集まったり、引き離されたりする現象です。直流の電気を利用する電気泳動現象は、タンパク質の分離などで当たり前のように使われています。しかし、誘電泳動現象については、原理は古くから知られていたものの、使い道がなかったため、産業化されていませんでした。誘電泳動の研究者も教授クラスでは、東大、東北大、群馬大、九州大にしかおられません。ところがバイオテクノロジーの発達で用途が開けてきました。現在、この装置をつくっている会社は、ほぼアイワークスと、協力企業のフィルテクノジャパンだけです。


― ◆なるほど。横山さんは電気泳動の研究をしてきたのですか? 

 いいえ。大阪基督教学院の神学専攻科を卒業しました。


― ◆ それは全く違う分野ですね。牧師さんになるつもりで?  
 
 そうです。牧師になるつもりでした。大学では、卒業後、1年は社会で働けという指導があり、枚方市の北河内ボランティアセンターで1年間、ボランティアコーディネーターの仕事をした後、10年間、大阪と東京で牧師として働きました。

  年上の信徒の方と接するうち、言葉が上滑りしている感覚があり、8年目になって本格的に仕事をしたい気持ちになりました。だから今は牧師を休職中のつもりです。50代の後半頃に復帰できたらと考えています。

  中途採用で、精密金属加工を行う、尼崎市のアリオテクノという会社に入社しました。今の親会社です。営業職で入ったつもりが、製品開発をしたいという社長・会長の意向を受けて、私が開発担当になりました。最初に手がけたのが、テレビ、パソコンに接続する低コストの顕微鏡です。これが当たり、年商1億円の売上になりました。入口の開発から出口のお金の回収までやりましたので、いい経験になりました。続いて、バクテリアの数を高速でカウントする装置を補助金で手がけましたが、これはほとんど売れませんでした。しかし、菌を集めるのに誘電泳動の原理を使ったことが、阪大の研究員の脇坂君と出会うきっかけになりました。細胞操作装置は脇坂君のアイデアで、脇坂君との共同開発です。


― ◆ 専門知識はどうやって学んだのですか?  

 「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」は本当だと思います。知らないから何でも聞けました。親会社では金属加工を勉強し、顕微鏡の開発ではバイオについて学び、その都度、本や人に聞いたりして学びました。共同研究先の大学でも教えてもらいます。

― ◆一つずつ学ばれたのですね。社内事業に止まらず、起業されたのはなぜですか? 

 この仕事は親会社の業態と大きく異なるので、顕微鏡の組立を行う会社として、経営上の理由で分社しました。ベンチャーとして活動する方が有利な場合もあります。最初は100%出資で分社し、「1年半で資本投下はストップするよ」と言われて、親会社から貸付を受けました。いいスタートが切れたので、起業家としては恵まれていると思います。

  最初は阪大のベンチャー・ビジネス・ラボラトリに入りました。しかし、年度当初の経費がかかるので、外に出ようと考え、彩都バイオインキュベータなどを検討しました。彩都に適当な空きがなかったこともあり、紹介してもらった、とよなかインキュベーションセンターに入ることになりました。ここには実験設備がないので事務所として利用し、実験は共同研究先の阪大研究室で行っています。

― ◆事業の現状はいかがですか? 
 もうかってはいませんが、食べては行けます。細胞操作装置は6台売れました。全くの新製品としてはいい出だしだそうです。装置の販売以外に、企業からの受託研究も行っています。受託研究については、細胞操作装置の売り先に協力する形で強化していきたいと思っています。

 お客さんは大学や独立行政法人など、先端の研究機関が多いといえます。お客様は細胞の融合操作に関心が強いので、これからはその方面を強化したいと考えています。韓国の大学にも1台販売しました。



細胞融合の操作
― ◆韓国にも? 

 韓国には今年5月、商社経由で分子生物学会に出展しました。そのときは実験に失敗してしまったのですが、6月にリベンジで再訪して実験に成功、1台の販売に成功しました。

 韓国は日本よりも反応が早いと思います。韓国や中国の研究者は、こうしたいというアイデアをどんどん出してきます。予算規模も大きく、学術誌の「サイエンス」や「ネイチャー」への掲載論文数を見ても、日本はバイオサイエンスの分野で水を開けられていると感じます。


― ◆それはなぜでしょう? 
 イギリスでもそうなのですが、早く工業化した国では遺伝子工学への偏見があるようです。自然や天然がいいという思いこみがあります。例えば、私たちは宇宙の成り立ちといった話題は普段しませんよね。科学が身近ではありません。

 どんな技術でも悪用の可能性はあり、「病気を治すために使う」などの「志」が大事だと考えています。


― ◆今後については、どのような抱負をお持ちですか? 

 今後、会社を大きくするつもりはありません。何人かの研究者が集まって、新しい製品を生み出したり、受託研究を行ったりする研究集団が作れたらと考えています。多くても5人ぐらいで。自前のラボを持って、マスターやドクターを修了した研究者にやりがいのある研究を提供したいと思います。

  大きな企業ではありませんので、分野については、「電気」と「細胞」という2つのキーワードは外さないでいこうと思います。


  ・・・

  お話を伺っていて、横山さんの変化を受け入れる適応力の高さを感じました。1.5kgの弁当を食べ、毎週のように東京まで高速バスで往復するバイタリティもお持ちです。既に製品をお持ちですので、力強く飛躍していただきたいと思います。

  細胞操作装置「セルワークス」や事業については、ホームページに紹介されていますが、横山さんの人柄を知るにはブログの「新人社長の窓際日記」をお勧めします。

                                                 2009.7.15 濱名
        
                                              

 

 
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